入院患者の管理

栄養の計算は例をみてやってみるのが良さそう。。p255

輸液

・維持輸液と補充輸液にわけて考える。維持輸液は1日で失われるぶん=水30mL/kg, Na 2mEq/kg, K 1mEq/kg, ブドウ糖100gと覚える。
・水分30mL/kgのうちわけ。尿・便・不感蒸泄・代謝水(細胞の代謝で生成される)
(尿→0.5~1mL/kg/hr、便→200mL、不感蒸泄→15mL/kg(ただし体温が1度上がると100mL増える)、

・心/腎/肝不全のいずれかあれば維持輸液量と投与速度量は注意する。

栄養、疼痛管理

・栄養状態は

栄養状態の評価SGA(主観的包括的栄養評価)と、ODA(客観的栄養データ評価)で行う。
(SGAでは、体重変化や症状の問診、ODAでは各種データを取る)p250
投与経路経口、経腸栄養、経静脈栄養
(経腸栄養は、~6週なら経鼻、6週~なら胃瘻か腸瘻。
 経静脈栄養は、~2週なら末梢、2週~なら中心静脈栄養)
投与量の計算蛋白質→脂肪→糖質、の順に計算する
①投与する総エネルギーを決める。
 基礎代謝量(BEE, Basal energy expenditure)を算出する
 Harris=benedictn式でBEEを算出→活動係数とストレス係数(疾患などによる)をかける
(BEEは1918年に発表された欧米人のデータに基づくため、絶対視しないことに注意)
②エネルギーの内訳を決める。
 蛋白質は安定時は0.8~1.0g/kg、ストレス時は1.2~2.0g/kg
 脂肪は総エネルギーの20~40%にする。
 残りを糖質で調整する(目安は総エネルギーの50~60%となる)
③NPC/N比の確認(蛋白質の利用のために糖質と脂質が必要のため、目安は150~200)
(侵襲時は100前後。p254)
④水分投与量を決める
*体重当たり30~40mL/日
(*経腸栄養でも水分が85%とか含まれているので、水分過多にに注意すること!)
⑤電解質の計算
(Na 2mEq/kg, K 1mEq/kg, Cl 80~100mEq, Ca 4.6~9.2mEq, Mg 8.1~12.1mEq, P 12~20mEqを目安とする)
 
疼痛まず原因を鑑別すること(がん患者が癌性疼痛とは限らない)
WHOのガイドラインを確認する。
・経口投与、定時投与、痛みに応じた最適な鎮痛薬、至適量、細やかな配慮
・疼痛コントロールの最終目標は「痛みを感じることなく、病を忘れた状態で、人間らしく、QOLを下げないで、不自由なく過ごせること」このために、
①経口摂取可能なら経口摂取が原則。②頓用ではなく薬効を考えて定時投与、③WHOの除痛ラダーに従う(副作用を避ける)
(*経口できない場合は舌下・持続皮下・静注に変更する。)

・除痛ラダー
1st=アセトアミノフェン、NSAIDsなどの非オピオイド
2nd=弱オピオイド(コデインリン酸塩やトラマドール)
3rd=強オピオイド(モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル)
(ラダー上げてもベースラインとしてアセトアミノフェン、NSAIDsの併用は多い)


・ペインコントロールの目標(まずは2ndを目標とすることが多い)
1st=痛みを感じずに眠ることができる。
2nd=安静時の疼痛が消失する。
3rd=体動時の疼痛が消失する。
4th=痛みを感じずに日常のQOLが保たれる。

・レスキュー(痛みの波に対して頓用で行うもの)
経口なら1日量の1/6、注射なら1時間量。レスキューが4回を超えるようなら定時投与のオピオイドの増量を行う。
副作用アセトアミノフェンは肝機能には注意。
NSAIDsは胃粘膜障害、腎障害、喘息既往に注意。
トラマドールは、嘔気、便秘、眠気。なおトラムセットはアセトアミノフェンとの配合剤。
オピオイドはは、便秘、嘔気対策が必要。便秘薬としてMg製剤、腸管蠕動刺激、制吐薬としてのノバミンなどの中枢性D2レセプターアンタゴニスト。

CKD

・一般に、腎代謝の薬剤を投与するときに腎機能に応じた調整は必要。薬剤排泄量はGFRに依存する。
(eGFRは、1.73m2を対表面積として算出されているから、個々人では不正確。
なお体表面積(BSA)の計算は、体重kg^0.425*身長cm^0.725*0.07184 で計算される。
(実測はイヌリンだが簡単に頻回できる検査ではない。)

CKD, AKD定義AKDは7日以内、CKDは90日以上。(その間をAKD(acute kidney disease)と呼んだりする)
CKDの評価eGFRと蛋白尿で重症度分類する(糖尿病性腎症が疑われるときはアルブミン尿で)
心血管リスクには注意する。
CKD
管理で重要
「ダブルABCD」(eGFRと蛋白尿とあわせて気にすること)
Anemia(貧血) Acidosis
Blood pressure Body weight
CKD-MBD(慢性腎不全に伴う骨ミネラル代謝異常) Cholesterol(脂質異常)
Diabetes Diet(食事。Kや蛋白制限など)
緊急透析緊急透析の適応は「AIUEO」(透析患者の緊急性についてもこれに基づいて。p191)
Acidosis
Intoxication(薬物中毒)
Uremia(尿毒症)
Electrolyte(電解質異常)
Overload, Oxygen(利尿薬抵抗性うっ血性心不全)
動脈血ガス*必ずすべて確認すること。
ABE, SBEは正常値は0±3 mEq/L

ステロイド使用時

・最近のアドヒアランスを必ず確認する。(長期内服では副腎抑制がかかるので、中止すると発熱・倦怠感・嘔気・腹痛・下痢・血圧低下・低血糖などの副腎不全症状を呈する。など)
・種類ごとに力価を、プレドニゾロンを基準として、計算する。p29
・投与回数や経路はさまざま(総量が同じなら分割する方が作用と副作用が強い)
・リファンピシンやフェニトインはシトクロムP450を誘導しステロイド代謝を亢進する可能性があるためその際は増量する(薬剤相互作用を確認すること!)


開始前に副作用に関連したスクリーニング p294(T-スポット/CMV/β-Dグルカン,KL6, LDH/HBs抗原, HBs抗体, HBc抗体/LDH, HDL, TG(脂質異常症として)/HbA1c/舌や皮膚(カンジダや帯状疱疹の所見がないか)/骨密度/眼科検診(緑内障を疑い)
1か月~の際はPCP予防を治療後2~3週後に開始する。
3週間~(7.5mg/day以上)で副腎不全になる可能性(特に感染や手術などストレス下)
副作用の出現当日から:不眠・うつ・精神高揚・食欲亢進
数日後から:血圧↑ Na↑ K↓ 浮腫
2,3週後から:副腎抑制・血糖上昇・Chol↑ 創傷治癒は遷延・ステロイド潰瘍
1か月後から:紫斑・皮膚線状・皮膚萎縮・ステロイド筋症
長期的に:無菌性骨壊死・骨粗鬆症・圧迫骨折・白内障・緑内障
ステロイドパルスステロイドパルス=メチルプレドニゾロン1000mg/dayを指すことが多い。
(核内転写因子を介するgenomic effectは100mg/dayの容量で頭打ちになる一方、non-genomic effectは容量依存でもっと作用が増強される)

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