当直で呼ばれたとき

メモ:具体的な薬量など覚えるのは困難。鑑別を挙げられるような復習はしておくべき。心電図の読み方と対応、ショック・循環器・脳血管障害などの一般治療は国試範囲よりは復習しておくべき事項。

発熱

発熱患者では常に敗血症を想定する。qSOFAのうち特に呼吸数は意識して計測すること。
髄膜炎は一刻を争う(菌量は20-30分で2倍に増える)
敗血症がなど緊急性のない発熱患者では(頭から)全身の所見をとる。
入院患者で可能性が高い原因を覚える。

qSOFA以下の2項目以上をみたすとき
①意識障害 ②収縮期血圧≦100mmHg ③呼吸数≧22
敗血症s/o
→_セットの血培
起炎菌の同定目的で血液培養を行う。
原則(a)_セット、感染性心内膜炎を疑う場合は(b)_セット以上採血する。
原則静脈から(であるが動脈でも陽性率に差はない)。
嫌気性ボトルから注入する。
 (a)2セット(4本) (b)3セット(6本)
真の敗血症を疑うx2短期間(1~数日)での陽性
黄色ブドウ球菌/大腸菌/クレブシエラ/緑膿菌/肺炎球菌/カンジダなどは(コンタミではなく)真の敗血症が疑わしい。
頭部CT
 タイミング?
 省略可の条件
血液培養の提出→抗菌薬投与→頭部CT→腰椎穿刺、の順に行う。
以下が否定されれば頭部CTを省略してもよいとされる。
 意識障害・けいれん・神経巣症状・免疫抑制状態・乳頭浮腫・既知の頭蓋内病変
問診と診察p7- 生活歴ほか、悪性腫瘍や膠原病、薬剤性を鑑別に挙げること。皮膚や関節に注意する。
p10。副腎不全・甲状腺クリーゼ・肺塞栓・無石性胆嚢炎は緊急性が高い。
院内発症の発熱
鑑別x7
【見逃しやすい7D】
①Drug(薬剤熱) ②Device(デバイス) ③DVT(深部静脈血栓症)
④CDトキシン ⑤Decubitus(褥瘡) ⑥CPPD(偽痛風)
⑦Debris(胆泥=胆嚢炎や胆管炎)
メモ:皮膚から所見を得るものが多い印象+薬剤歴と腹部x2(CD腸炎は薬剤歴あり)
相対的徐脈
相対的頻脈
相対的徐脈の目安として、38℃で110/分以下、39℃で120/分以下、など。
相対的頻脈の例としてトキシン関連、甲状腺機能亢進症・肺塞栓症・頻脈性不整脈など。

ショック

血圧が低下しない場合もある。普段の血圧からの変化をみる。元が高血圧患者ならSI計算しても正常だったりする)
血圧低下に先行して頻脈・脈圧低下・尿量低下が起こることが多い)
ABCは見ておくこと。

ショックの先ず対応まず静脈ライン確保で十分な補液
同時に_する。【ショックの鑑別】①頚静脈 ②呼吸音 ③末梢の冷感
・心原性は治療が異なるので鑑別は重要。副腎不全は特異的症状に乏しいがショック。
p16-にその後の一連の対応が記載されている。
1)ABC 2)輸液 3)身体所見(経静脈怒張・ラ音・末梢冷感の有無)
4)検査:血液/心電図/エコー/胸部Xp/便潜血/尿道カテ/原疾患の治療。
ショックの鑑別1)循環血漿量減少性(頚静脈怒張(-) 肺うっ血(-) 末梢冷感+)
2)心原性(頸静脈怒張+ 肺うっ血+ 末梢冷感+)
3)心外閉塞・拘束性(経静脈怒張+ 肺うっ血± 末梢冷感+)
4)血液分布異常性(頸静脈怒張± 肺うっ血± 末梢冷感なし)
  *敗血症/アナフィラキシー/神経原性/副腎不全など
組織への酸素供給の式DO2(酸素供給)=①CO(心拍出量) x ②CaO2(動脈血酸素含有量)
 ①は前負荷・後負荷・心筋収縮力→輸液・血管収縮薬・強心薬で対応
 ②は1.34 x SaO2(動脈血酸素飽和度) x Hb→酸素投与と輸血で対応
*もっとも簡便なのが①を高める輸液負荷。
 (心原性ショックを疑う状況でなければ、20G以上の静脈ラインx2挿入し細胞外液)
*数百mLまでなら心原性ショックを悪化させるとは考えられない。
ショックの
血圧の変化
平均血圧(拡張期+1/3脈圧)=65mmHgを目標=臓器還流を反映
収縮期血圧=後負荷、動脈性出血のリスクを反映
拡張期血圧=心・冠動脈血流量を反映
乳酸値や尿量(0.5mL/kg/hr以上)→末梢循環のモニターとなる。
徐脈のショック「VF AED ON」
Vasovagal reflex(血管迷走神経反射)
Freezing(低体温)
AMI / Adams-Stokes症候群 / Acidosis
Electrolyte(高K, 高Mg血症)/ Endocrine
Drug
Oxygen(低酸素)
Neurogenic(神経原性)
輸液でショックに
対応できないとき
輸液負荷と併用でNA(末梢抵抗を上げる)など。
 高容量の昇圧薬の必要性が想定されるときはCVカテの準備する。
 循環作動薬は微調整が必要であり「γ計算」をする。
(γは体重kgあたりの1分間投与量(μg/kg/min))実務では→mL/Hrへの変換が必要
説明:mL/hrでオーダーしていると、患者の実際に投与されている「体重1kgあたりのカテコラミン量」がイメージしにくくなるが、これをγで表す。

計算:1γ(μg/kg/min)→1 x 10^-3(mg)/ kg/ (1/60)hr
   → 1 x 10^-3 x 60 (mg/kg/hr) → 0.06 (mg/kg/hr)

 1mg/1mLを基準として、X倍希釈した場合、 1γ=0.06 x (1/X) mL/kg/hr
(→ 1/X (γ) = 0.06 (mL/kg/hr)となる)
 体重が Y kgとすると(体重あたりで同じ投与量が必要なのでY倍して)
 → 1/X x 1γ = Y x 0.06 (mL/hr)となる

以上から、例えば1mg/mLの薬剤を20倍希釈すれば
 0.05γ = 体重(kg) x 0.06 (mL/hr) γ を投与したことになる。

具体例:「カテコラミンとして20倍希釈NAを0.05γから開始することになった」
→このために必要な20倍希釈NAは体重60kgの患者では 0.05γ = 60 x 0.06 =3.6 mL/hrに相当するので、これをオーダーする。(つまり、体重に0.06をかけると覚えてもよさそう)

追記事項
・ショックの際の輸液量の具体例としては、最初の3hで30mL/kg以上、その後1日3000~5000mL程度など。
・生理食塩水ではClが高知のため、AG非開大の代謝性アシドーシスの原因となる
(→代わりに乳酸リンゲル液などのバランス輸液が用いられることがある。なお生食と比べると腎代替療法のリスクは減るが死亡率は差がないと報告されている。JAMA308, 1566-77, 2012 腎代替療法リスクに差がないとする報告もある)
・ノルアドレナリンで不十分なさいの併用薬として、バソプレシンやアドレナリンがある。

酸素飽和度の低下

・まず気道確保
・鑑別のために、ここでも忘れがちな呼吸数計測は大事(酸素化が悪いのに呼吸増えてなければCO2ナルコーシスや薬剤による呼吸抑制なども)

SpO2低下
まず調べる
緊急性の判断のために
①発症様式 ②胸痛の有無 ③痰詰まりの有無 をみる
SpO2低下
まず行う
①気道確保 ②酸素投与 ③動脈血ガス測定
SpO2低下の緊急疾患①気道閉塞(喘息やCOPDも) ②心不全(AMI) ③肺炎 ④気胸 ⑤肺動脈塞栓症
(メモ:Killer 4のうちの食道以外と、肺炎・気道閉塞)
*上記の中でDVTは特異的症状が乏しいので、リスクを評価(血液検査等も)し造影CTを撮る。
*上記以外も多様なので広く鑑別は挙げられるようにしよう。AaDO2が役立つこともある
気道閉塞の場合の処置経鼻エアウェイ(意識がある患者にも使える。頭蓋底骨折で禁忌。鼻出血に注意)
経口エアウェイ(意識がない患者に用いる。適したサイズを用いる。嘔吐など注意)
適切な呼吸がない時バックバルブマスク(バルブにより呼気が排出される=CO2ナルコーシスなどでCO2を早く排出させたい時に良い。酸素投与も行うときはリザーバーマスクに接続)
ジャクソンリース(バッグを軽く握ることでPEEPをかける。気管支喘息やCOPD増悪など。自発呼吸を手に感じるのでそれに合わせる。酸素投与の接続もできる)
CO2ナルコーシスを疑う慢性肺疾患患者、手足が温かい・縮瞳・意識レベル低下
(必要な際の酸素投与は躊躇しないこと。酸素不足は脳に不可逆な障害を与える)
投与の目安Sp2の目標値はないが、ベースに決める。通常はSpO2 90%未満で酸素投与が検討される。
できるだけ早く終了させる(例えば純酸素(100%酸素)では数時間で肺組織障害が起こりうる)
FiO2は0.6(=60%酸素)を下回るようにしたい。
呼吸不全の定義動脈血ガスPaO2 ≦ 60mmHg 
さらに、PaCO2 ≦ 45 mmHgでは1型、 >45 mmHgでは2型
投与量とFiO2
p27
①鼻カヌラ=20%+ x4 酸素 (%) *1~4L/分で入れる
②酸素マスク= x10 酸素 -10~-20 例:5~6Lで入れたら40%, 7~8Lなら60%
③リザーバーマスク= x10% *6L/分以上で入れる
「酸素化」と
「酸素飽和度
酸素化=P/F比(PaO2/FiO2。なお、ARDSはP/F < 300)
酸素飽和度SaO2は、FiO2を上げたら上昇はする。(P/Fは短期間では不変)

意識障害

・いつも通りバイタル確認、すぐにABC、低血糖は除外する(低血糖が原因であれば50%ブドウ糖で早く回復する)
・p37にあるように、意識障害であっても取れる(目や四肢の)神経所見を取る。呼吸数やパターンをみる。
・病歴(目撃者などからも)から「失神」と「意識障害」は区別すること。失神では心原性を必ず除外する。

AIUEOTIPSAlchol関連
Insulin(DKAやHHSも)
Uremia(尿毒症)
Endocrinopathy(副腎不全、甲状腺クリーゼ、粘液水腫) Electrolytes(Na、K、Ca、Mg)
Oxygen(CO2も) Opiate・Overdose(オピオイドや薬物中毒)
Trauma/Tumor (脳外傷、脳腫瘍) Temperature(低体温、高体温)
Infection (髄膜炎や脳炎、敗血症)
Psychogenicc(精神疾患)
Stroke/SAH, Shock, Seizure(けいれん(の後))
検査AIUEOITPSをできるだけ網羅するようにオーダーする。
・動脈血ガス、血液検査、頭部CT、心電図、髄液検査、頭部MRIと脳波、

脳梗塞での意識障害がまれなのは、意識の維持に必要な上行性毛様体賦活系への投射が「両側で」障害されることがまれだから。TIAでもまれ。両側大脳皮質の広範な脳梗塞・midline shiftのある片側脳梗塞(対側も大脳皮質障害される)・脳幹梗塞・小脳テントヘルニアなどでは脳梗塞であるが意識障害をともなう。

頻脈・徐脈

まず行うことバイタルチェック→12誘導心電図
*意識や血圧、酸素化が保たれていない場合は「不安定」、胸痛・呼吸困難なども「不安定」の徴候。不安定であればモニター心電図のみで対応することもある。
頻脈でみること①QRS幅 ②リズムは整か不整か
・洞性頻脈であれば、これは代償であることが多いので、脈を下げると逆にバイタルが破綻することになり危険。よって洞性頻脈は最初に除外する。
VT、VF①まず人を呼ぶ、循環器内科医をコールする
血圧が保たれていない場合はカルディオバージョン(同期するのがカルディオバージョン)
(意識があれば鎮静(ミダゾラム・プロポフォール)。なお血圧が保たれていれば薬物療法も考慮はされる。カルディオバージョンでは2相性なら100Jから開始、単相性なら150Jから開始して上げる)

*同期させない方法は、VFとpulseless VTに対して除細動器を非同期モードで使うとき。除細動器は同期させて使うこともある。使い方はp47
Rate control
の薬剤
①βブロッカー 
 ランジオロール(オノアクト)50~150mgを生食50mLに希釈して1γから持続投与
 (*γは体重kgあたりの1分間投与量(μg/kg/min))
②Caブロッカー
 ベラパミル(ワソラン)5mg(1A 2mL)を生食8mLに溶解して2mL(1g)から静注し、10分程度で効果判定。*新収縮が良い場合限定で使用できる。心不全や低血圧があれば不可。
③ジゴキシン
 0.25mg(1A)を緩徐に静注。腎機能とWPW症候群の有無に注意。作用発現には15~30分
④アミオダロン(アンカロン)K遮断。
 125mgを5%ブドウ糖液100mLに溶解して10分投与。その後も投与。p51に記載。
 心機能低下や心不全症例で使える。肝機能、甲状腺機能、KL6に注意する。
 改善ない場合は除細動を考慮。
*心房細動/粗動では発症48時間超えると、洞調律復帰時に血栓が飛散するので、電気的除細動を行うなら抗凝固・経食道エコーなどを予め行う。
*基本心房細動ではCHADsスコアに従うが厳密にはややこしいのでp52で確認しておくこと。
徐脈の際の対処・頻脈同様に安定か不安定かを考える。原因としてACSの有無を必ず評価する。電解質も確認。
・血圧低下・意識障害・心不全があればアトロピン 0.5mg(1A)を静注。
(ただし房室ブロックにアトロピンは無効。この場合すみやかに経皮的ペーシング(鎮静のうえ))

胸痛

・4 killer chest painをまずは鑑別する(AMI, 解離, 肺塞栓, 緊張性気胸)
・上級医をよぶ。

胸痛患者のアルゴリズム①状況の把握(モニター/救急カート/上級医/循環器内科連絡)
②病歴聴取と身体診察、心電図/胸部Xp/トロポニン迅速、ライン確保/点滴
→ 心エコー/血ガス/Aorta CT/PE scan → 治療

*トロポニンは早いが、3時間以内では偽陰性がある。また腎不全、透析患者、横紋筋溶解症などで偽陽性となることがある。
Coronary risk factor必ず確認する
①年齢(男性55歳以上, 女性65歳以上)、②糖尿病、③高血圧、④脂質異常症
⑤喫煙、⑥肥満、⑦家族歴
他に考えるべきリスク上記以外の動脈硬化のリスク(CKD、透析、脳梗塞)
肺塞栓症のリスク(悪性腫瘍、安静、骨盤手術歴、喫煙、妊娠)
心筋虚血の要因として酸素供給減少と需要増加をきたす病態
(貧血、低酸素、発熱、甲状腺機能亢進、高血圧、コカイン使用歴)
痛みの評価はOPQRST
発症、増悪寛解因子、性状、放散の有無、部位と重症度、時間経過
STとACSST↑ → AMI(STEMI)心筋逸脱酵素の上昇
ST↓とT波変化 → UAP(不安定狭心症) 心筋逸脱酵素は上昇しない
ST↓とT波変化 → NSTEMI(非ST上昇AMI) 心筋逸脱酵素の上昇
(ST変化なく、心筋逸脱酵素も変化しないのは安定狭心症)
STEMIの対応すぐに循環器内科オンコール。90分以内の再灌流が目標。
初期対応はMONA。説明はp62

以下のワードを確認しておく
・J点
・冠動脈と梗塞の位置を心電図から。
・TIMIリスクスコア=狭心症の可能性をスコアリング

腹痛

・急性腹症を疑ったらすぐに外科コール、画像検査は想定する疾患を考えてオーダー
・女性では妊娠と婦人科系疾患も除外すること。
・身体所見(痛みの性状や解剖学的位置)が重要であるが、DKAや副腎不全など位置を問わない疾患もある。
・p74の鑑別は覚えておくこと。AMIなど除外するためにリスクがあれば心電図はとる。

急性腹症
 とは?
 疑う所見
急性腹症とは、発症1週間以内の発症で、手術など迅速な対応が必要とする腹部疾患のこと。
突然の激しい腹痛・身体所見として反跳痛(rebound)や筋性防御(defense)
すぐに外科コールする。(消化器外科, 心臓血管外科, 婦人科コール)
バイタルサイン通常は痛みにより血圧↑(+脈拍↑呼吸↑)であるが、重篤な疾患たとえば出血や敗血症では血圧↓ 同様に発熱
身体診察
検査
視診→聴診→打診→触診(腹壁の緊張をとるために曲げてもらって)
末梢ライン確保、鎮痛薬、手術が想定される場合は凝固/血液型/クロスマッチ/感染症の採血
(高齢者・糖尿病・免疫不全の場合は腹膜炎でも所見が異なる場合があり注意する)

Carnett徴候(p71)仰臥位で頭部と肩を挙上かつ腹部に力をいれてもらう。もし疼痛が軽減すれば腹腔内臓器、増悪したら腹壁まで到達している炎症性疾患。
psoas徴候(p76)腸腰筋に炎症がある際、大腿の伸展で疼痛が増強する。
obturator徴候(p76)骨盤内に炎症がある際、股関節の内転で疼痛が増強する。

血糖異常

・低血糖をみたら、ブドウ糖補充と原因探索のためのABCDEF
・高血糖よりは低血糖が怖いが、高齢者では容量負荷による心不全には注意が必要。
・インスリン投与は(生体の分泌を模倣して)超即効型と持効型を分配。
・DKAの治療はインスリンと脱水補正

・低血糖が進むにつれて、副交感刺激↑ → 交感神経刺激症状↑ となる。
・低血糖頻回発作や糖尿病コントロール不良、βブロッカーの内服があると自覚症状がないことがあり注意。

目安有症状または血糖値が70mg/dL以下の場合に補正する。意識障害の有無により下記の違い。
対応経口摂取できるならブドウ糖10g内服でもよい
不可の場合は、50%ブドウ糖液20mLの静注を行う。
上記を2回行って血糖の上昇がみられない場合は、持続的に10%ブドウ糖補液(40mL/hrから開始)することが望ましい(例えば持効型インスリンやSUの作用は持続するので低血糖に戻ってしまう)
低血糖
鑑別
「ABCDEF」(低血糖が改善しても必ず原因を探索すること)
Alchol, Bacteria(敗血症), Cancer, Drug(持効型インスリンやSU薬など→この原因が圧倒的に多い)
Endocrine, Failure(肝不全, 腎不全によるインスリン排泄遷延など)
インスリンの考え方○血糖値は食前に計測されることを前提として。
①各食事前の血糖値が高い場合、(その前の食事での血糖値上昇が続いているので)1つ前の超即効型インスリンで調節する。
②朝食前の血糖値が高い場合、(基礎分泌を抑えるインスリンが足りない、つまり)持効型インスリンで調節する。
高血糖高血糖によるアシドーシスは緊急疾患である。
①DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)
 インスリン欠乏とインスリン拮抗ホルモンの増加により高血糖(250~300)と高ケトン血症、アシドーシス。感染症が原因の最多、その他にインスリン中断、急性膵炎、など多数。
②HHS(高血糖高浸透圧症候群)
 著しい高血糖(600~)と高度な脱水による循環不全。(著しいアシドーシスはない)
 高齢者の2型糖尿病患者が感染症、脳血管障害、手術、利尿やステロイド投与により高血糖をきたした場合などに起こりやすい。
DKAとHHS
の検査
血糖値・HbA1c(直近の血糖コントロール把握)・抗GAD抗体(1型と2型の区別)
尿定性(ケトン検出)・静脈血ケトン分画・動脈血ガス(アシデミアをみる)
*なお元々高血糖では低Naになりやすいから、正常~高値では脱水の可能性が上がる。

 経口血糖降下薬についても勉強すべきで、p83に記載。

嘔気・嘔吐

・アセスメントが重要であり、安易に投薬しない。原因は「NAVSEA」
・ACSを見逃さないように!!

6つの原因「NAVSEA」
Neuro(中枢神経刺激、当該内圧亢進や脳循環障害、髄膜刺激)
Abdominal(消化管腹膜系。腸閉塞など)
Vestibular(前庭系。突発性難聴、BPPV、前庭神経炎、メニエール病)
Symphathetic/Somatopsychiatric(交感神経/副交感神経の異常、ACS、緑内障発作、心身症、視覚)
Addiction(薬物。オピオイド、ジギタリス、テオフィリン、リチウム、アルコール、化学療法、麻酔)
(担癌患者であっても、オピオイドだけでなくNAVSEAを想定する。)
*ACSや妊娠あたりは忘れやすいので注意する。
アセスメントして原因を明らかにすることは重要。
・腸閉塞に対し、プリンペランやナウゼリンなどの抗ドパミンを投与すると腹痛を悪化させ穿孔リスク

不眠・せん妄

・漫然と睡眠薬を処方してはいけない、原因をまずは考える
・ベンゾジアゼピンは副作用も多いので気を付ける。
・せん妄は、見落とされるものも多いのとされているので、常に見当識障害や意識レベル変化には注意を払う。

不眠の5原因5Pで考える
Physical(身体的。発熱/疼痛/掻痒感/頻尿/心疾患/SAS/むずむず脚)
Physiologic(生理的。時差ぼけ/環境の変化/騒音/光/不快な温度/交替制勤務)
Psychological(心理学的)
Psychiatric(精神医学的。うつ病/不安障害/アルコール)
Pharmacologic(薬理学的。ステロイド/利尿薬/抗PD薬/インターフェロン)
不眠の4タイプ入眠障害(=寝つきが悪い)
中途覚醒(=夜間2回以上目覚める)
早朝覚醒(=早く目覚める。予定より2時間以上)
熟眠障害(=眠りが浅い。睡眠時間のわりに寝た感じがしない)
ベンゾジアゼピン
のリスク
呼吸抑制があるので、CO2ナルコーシス(CO2貯留)を起こしやすい病態に注意
例:重症COPD、ALS、MG
せん妄予防の
環境整備
カレンダーや時計で日時を明確にする。景色が見えるように工夫する。
眼鏡・補聴器を使用する。家族が付きそう・家族の写真を置く。昼夜リズムをつける
*上記の通り、家族の協力が有効。
・予防が重要であり、糖尿病がなければリスペリドンかクエチアピンの内服
 点滴ではハロペリドールやコントミンが予防として用いられる。
せん妄が起こった時入院すぐ(1-2日)では環境変化を原因とするせん妄が多い。
それ以外では、敗血症・低血糖・電解質異常・薬剤などが原因となる。

病棟で経験するアレルギー

・アナフィラキシーを疑えば、まずアドレナリン筋注0.3mL
・薬疹を疑ったら、まずはI型か非I型を区別(発熱/倦怠感/粘膜疹あれば重症薬疹のサイン)
・抗菌薬は交差性に注意する。薬歴は遡って聴取することが重要(遅いのは数週間以上経って発症するので)

アナフィラキシー
初期対応
①人を呼ぶ ②ABC(A確保なければ挿管考慮)
③酸素マスク(6~8L、なければ鼻カヌラ)
④アドレナリン0.3mLを大腿の前外側(外側広筋)に筋注)
(*過剰投与を避けるためアドレナリン1mg/mLのシリンジキットを0.3mLまで捨てたうえで投与)
⑤下肢挙上 ⑥必要に応じ生食500~1500mL投与(心不全に注意)
⑦抗ヒスタミン薬を投与(ポララミン(H1ブロッカー)とザンタック50mg(H2ブロッカー)両方を生食に溶いて投与)
⑧全身ステロイド投与(2相性反応の予防(ヒドロコルチゾン(ソルコーテフ)500mgを生食50mLに溶いて投与。アスピリン喘息を疑う場合はベタメタゾン(リンデロン)50mgを生食50mLに溶いて投与)
⑨アドレナリンで喘息の改善がなければベネトリンネブライザーの吸入。患者がβブロッカーを内服している場合はアドレナリンの作用が不十分なこともあり、グルカゴンG 1mg静注を検討する(嘔吐に注意)
*即効性があるのはアドレナリンのみという点は重要。
*2相性反応=初期に軽快したのちの再度症状がでること(通常4時間以内)
薬疹の
1型、非1型
蕁麻疹やアナフィラキシーなどiGEと肥満細胞による即時型アレルギーはI型、そのほか、薬剤投与の数日後に出現するものはIV(または一部III)型アレルギーである。
i型では抗ヒスタミンとアドレナリンが治療の中心であるが、IV型ではどちらも無効である。
重症薬疹の種類と対応SjS/TEN(一連の疾患と捉えられている。多型滲出性紅斑→SjS→TEN(体表面積の10%以上)
(薬剤性が60~80%だが他にマイコプラズマやヘルペスウイルスが原因となりうる。サルファ薬・βラクタム系・ニューキノロン系・テトラサイクリン系・抗けいれん薬・アロプリノールなど)

DIHS(薬剤過敏性症候群, Drug-induced hypersensitivity syn.)
 薬剤服用の2~6週間後の発症が多い(中止後も2週間以上遷延)。サルファ薬・アロプリノール・ミノサイクリン・フェニトイン・カルバマゼピン・フェノバルビタールが原因になりやすいく、HHV-6やCMVの再活性化がみられ抗体価が上がる。

AGEP(急性汎発性発疹性膿疱症)
 ざ瘡性皮疹と類似することが多い。無菌性の小水疱。高熱、好中球増多。薬剤服用の1~数週間後の発症が多い。βラクタム系・マクロライド・ニューキノロン系・Ca拮抗薬・ヒドロキシクロロキン・テトラサイクリン系など。

・IV型アレルギーの治療は再度勉強して整理する必要。それぞれの種類に対する治療という形では参照した本に記載されていなかった。

その他の病棟コールで注意すること。

・すべてにおいて、バイタルサイン確認は重要。

  

気管カニューレの自己抜去SpO2が保たれていれば同じサイズの気管カニューレを再挿入する(難しければ1サイズ小さいもので試みる)
SpO2が低下している場合は気管切開部の瘻孔から酸素マスクなどで酸素投与する(SpO2が改善した時点で再挿入を試みる)
SpO2低下が著しく再挿入できない場合は瘻孔を指で塞いでバッグ換気を行う。
胃婁の自己抜去まず4週間以上前に造設されたか確認する。
4週間より最近の造設なら、再挿入時に腹腔内へ迷入する危険があるので内視鏡下の再挿入を考慮する。
4週間以上前の造設なら、新しい胃瘻チューブを再挿入する。
(新しい胃瘻チューブが手に入らないときは、尿道カテーテルでもよいので挿入して瘻孔を保つことが重要である)
経鼻移管の自己抜去*誤嚥が問題になる。すぐに再挿入する。
・経口栄養が目的だった場合、投与中の抜去で栄養剤が気管に入ってしまう。
・ドレナージが目的だった場合、通過障害により胃内容物が逆流してしまう。
転倒
(≠失神)
(バイタル確認後)頭蓋内病変の除外と骨折は3か所を特にみる。
(頭→急性硬膜下血腫/硬膜外血腫/頭蓋骨骨折など。
 体幹では→大腿骨頚部/橈骨遠位端骨折/脊椎圧迫骨折)
転倒リスク
薬剤
ベンゾジアゼピン、抗ヒスタミン薬、αブロッカー、夜処方の利尿薬
環境因子として部屋の暗さ・床が濡れている・点滴台がトイレと逆方向、など。
*かならず背景の疾患・原因を考えること(例:骨粗鬆症、骨転移、など)
静脈ライン抜去気にすることは①投薬が中断されたこと、②点滴漏れ部位の出血や皮膚障害
抗癌剤の皮膚障害3種類に大別される。
①壊死性薬剤:少量の漏出でも水疱性皮膚炎が生じ難治性の皮膚潰瘍となりうる。
(フルオロウラシル・エトポシド・シスプラチン・ビノレルビン・エリブリン)
②炎症性薬剤:局所に炎症を起こすが潰瘍形成はしない。
(シクロホスファミド・イリノテカン・ゲムシタビン・ブレオマイシン・カルボプラチン)
③非壊死性薬剤:多少漏れても炎症や壊死は生じにくい。
(シタラビン・メトトレキサート・L-アスパラギナーゼ。皮下注される薬剤は非壊死性であるものが多い、らしい)

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