内分泌(2)甲状腺と副甲状腺

甲状腺まわりは個別知識がそれなりに多いから整理して覚えること

・まずは下垂体性でないか鑑別すること。
・ほかに、無痛性甲状腺炎、妊娠初期の甲状腺中毒症で類似の症状であり、TRAb陽性であればバセドウ病となる。
・鑑別のために、TRAb。出産後半年はバセドウ病、無痛性甲状腺炎(橋本病)ともにに発症や増悪、再燃しやすい時期。(鑑別ができないと、治療は始められない。)

甲状腺機能亢進症と心臓症状心房細動(不整のやつ)
甲状腺機能亢進症の症状眼:眼球突出と、眼瞼の開大(Dalrymple徴候)、下を向くと胸膜がみえる(Graefe徴候)(原因は、眼球後部の脂肪織の腫大または外眼筋腫大)
「前脛骨部粘液水腫」(*なぜかムコ多糖がバセドウ病で増えて蓄積するらしい)
低Kによる筋症状(周期性四肢麻痺の原因としてバセドウ病は典型。東洋人で多い)
副甲状腺機能低下症と心臓症状Ca低下によるQT延長
(副甲状腺機能亢進ではCa↑ QT短縮)
甲状腺機能亢進症の治療と副作用①抗甲状腺薬→無顆粒球症、皮膚発疹(掻痒)、肝機能障害、晩期の副作用としてANCA関連血管炎(症状が多彩なので、問題を解く際に早期できるように注意する)。
*妊娠初期はチアマゾールの催奇性が危惧され、プロピルチオウラシル推奨。
②外科的治療→甲状腺機能低下、副甲状腺機能低下、反回神経麻痺
③131I治療→妊娠時は禁忌!(若年でも注意)。甲状腺機能低下の合併症ありうる。
甲状腺摘出の合併症反回神経麻痺(0.5~3.5%)、副甲状腺機能低下(0~4.6%)、出血
甲状腺機能亢進症の治療抗甲状腺薬(チアマゾール。小児ではプロピルチオウラシルは肝障害など副作用が重篤) 放射性ヨウ素は発がん性および小児では性腺への影響から慎重。
甲状腺機能が正常化するまでは運動は控えるのが望ましい。
甲状腺クリーゼとは
治療は
強いストレスがかかったときに甲状腺ホルモン過剰により複数臓器の不全が起こる。
治療は抗甲状腺薬、β遮断、ステロイド、輸液など。
重要】ヨード剤がWolff-Chaikoff効果により急性に甲状腺ホルモン分泌を抑制する治療となる。
昆布を過剰に摂取すると。ヨード過剰で起こるのは、甲状腺機能の抑制である。元々橋本病があれば遷延しやすい。FT4↓ TSH↑ (注:抗TPO抗体や抗サイログロブリン抗体は、ヨード過剰で甲状腺機能低下を起こした人では、橋本病素因の可能性が高いゆえに陽性は十分想定される)
無痛性甲状腺炎や亜急性甲状腺炎の治療甲状腺機能亢進症上に対してβ遮断薬など(褐色細胞腫ではβ単独遮断は禁忌だったな)
*亜急性はウイルス性であることに注意。
甲状腺機能低下を起こす薬剤①リチウム=甲状腺ホルモンの合成と分泌阻害作用(=ヨードと同様)
②アミオダロン(不整脈薬)=ヨードを含み、同上。
③ 副腎皮質ホルモン、β遮断薬=T4→T3の変換を阻害。(なのでβ遮断は亢進症の治療となる)
甲状腺機能低下症の治療と副作用甲状腺ホルモンの補充(半減期の長いT4の経口製剤。緩徐に増量してTSH正常を目指す)

【副作用】心拍数↑心筋の酸素消費が増えることによる心筋虚血に最も注意する(治療開始前に心電図検査したりする)。
橋本脳症と、
粘液水腫性昏睡の違い
①橋本脳症=抗NAE抗体による中枢神経系への自己免疫。甲状腺機能とは関係ない(正常ということもありうる)。治療はステロイド。
②粘液水腫性昏睡=既に高度な甲状腺機能低下症の状態に、外傷などのストレスが加わって、中枢神経系障害、低体温・呼吸不全・循環不全など。 

甲状腺機能亢進があった時の鑑別(腫瘍はまた別個に鑑別と個別知識整理する)

甲状腺亢進甲状腺の性状
びまん性・軟バセドウ病
びまん性・硬(弾性硬)無痛性甲状腺炎(橋本病)
結節性・硬結で疼痛+ 発赤ー亜急性甲状腺炎(ウイルス性であることに注意)
結節性・可動性+プランマー病(通常は良性。治療は腫瘤切除)
結節性・可動性ー悪性腫瘍(詳しくは後述する)
結節性・硬結で疼痛+ 発赤+急性化膿性甲状腺炎
①バセドウ病と橋本病の対比(=びまん性であるが、軟と弾性硬)、②亜急性甲状腺炎と急性化膿性甲状腺炎の対比(出題はほとんど前者で、発赤はなくウイルス性、③プランマー病と悪性腫瘍の対比(=どちらも圧痛あるが、可動性ありorなし)でとらえるとよろしい。
結節性+可動性+プランマー病
結節性+可動性ー 進行は緩徐、リンパ行性転移、エコーで砂粒状(点状)石灰化、病理でコーヒー豆など乳頭癌
結節性+可動性ー 進行は緩徐、血行性転移。濾胞癌
結節性+可動性ー 進行は緩徐、リンパ・血行性転移。CEA↑ カルシトニン↑ 病理でアミロイド沈着髄様癌
(傍濾胞細胞(C細胞)由来)
結節性+可動性ー 高齢者で急速(数日単位)に進行する。リンパ・血行性転移あり。10年率0%。炎症+(CRP+であるが、感染との鑑別に注意)未分化癌
*悪性リンパ腫はB細胞由来。橋本病が背景にあることが多い。急速(数日単位)に進行。悪性リンパ腫
現実的には、乳頭がんの所見を探すのが妥当、例:病理でコーヒー豆様凹溝、核内細胞質封入体。シート状配列など。
甲状腺機能については、腫瘤の圧排により漏出で高値を示すことはある。
橋本病(元々はびまん性の腫大)→①無痛性甲状腺炎=急速な腫瘤増大はない。橋本病→②悪性リンパ腫=急速な腫瘤増大(結節性)がある。

Caとあわせて、P(とアルブミン)を考えると、PTHまわりの鑑別は比較的容易。シンプルなのはPTH↑→Ca↑P↓

高Ca
低P
高PTH
原発性副甲状腺機能亢進症 続発性副甲状腺機能亢進症の進行したもの。
*PTH↑ → Ca↑ P↓ (=理解しやすい)
高Ca
高P
低PTH
悪性腫瘍に伴うもの(肺扁平上皮癌、ATL、MM、骨転移)
薬剤性、長期臥床(急性骨萎縮)、ビタミンD過剰、甲状腺機能亢進症
*PTHrPなど他の理由でCa↑ → PTH ↓ → P↑ のパターンがある。(続発性のP増減は色々)
 (覚えるしかない。原発性でない亢進症はP↑ となることがある)
低Ca
高P
低PTH
原発性/続発性副甲状腺機能低下症、低Mg血症
Ellsworth-Howard試験(PTH投与)→尿中cAMP↑とP↑を測る。
*PTH↓ → Ca↓ P↑ (=理解しやすい)
低Ca
高P
高PTH
(続発性副甲状腺機能亢進症の初期のもの・腎炎に続発するもの)
偽性副甲状腺機能低下症  慢性糸球体腎炎(活性化ビタミンD↓Ca↓、P排泄↓P↑
*PTHへの反応性なし→ Ca↓ P↑ → PTH↑(→しかしPTHは作用しない)
PTH反応性ないことが元なのを覚えたら想起できる。
Ellsworth-Howard試験(PTH投与)
→①偽性I型なら尿中cAMPもPも不変 ②偽性II型ならcAMP↑ P不変。98I36
低Ca
低P
くる病 ビタミンD欠乏 吸収不良症候群 尿細管性アシドーシス
(ちなみに、尿細管障害では低Mgが起こり易い。後述)
高Caの症状
 治療は?
悪心嘔吐・食欲不振、傾眠・意識障害・せん妄。便秘、Ca→ガストリン→胃潰瘍
尿路結石、多尿
高血圧、QT延長。(*ところで、高Kはテント状TとQRS延長)
・治療では、輸液+カルシトニン+ビスホスホネート(破骨細胞抑制)+ループ利尿薬(Ca利尿)
低Caの症状
・副甲状腺機能低下症の治療は?
筋けいれん(低Mgでもみられる)。下痢。テタニー(”数年前から続く手指のしびれとつっぱり感”)
腱反射亢進、Chvostek徴候、Troussearu徴候(マンシェット圧迫で)
・副甲状腺機能低下症の治療は、第一に活性型ビタミンD投与。
低Mgの病態と治療アルコール多飲者で起こり易い。薬剤ではシスプラチンや抗菌薬(による尿細管障害)。症状はQT延長・不整脈、筋力低下やテタニー、抑うつ、不安。
アルコールにより腎尿細管障害→Mg喪失→K喪失、PTH分泌障害→Ca↓
・治療は原因であるMg投与。
副甲状腺ホルモン↑では、腫瘤のものもある例えばMENで。
尿細管障害で喪失によりMg↓K↓、Ca↓となるが、糸球体腎炎ではP↑となるのは意外だ。

PTHの上昇が著しい時は、骨芽細胞の活動亢進↑ → 血清ALP↑となる。

低血糖発作での鑑別インスリン自己免疫(抗体+の場合)、インスリノーマ(糖摂取で治るので体重増加傾向)
下垂体機能低下(特にACTH)、アジソン病。*糖新生抑制。
肝細胞癌(肝硬変の進行でグリコーゲン貯蔵が低下し、朝方に低血糖発作)
インスリノーマの診断絶食試験=低血糖でもインスリンが検出されることを確認するため。
Zillinger-Ellison症候群とは?
 診断は?
 治療は?
ガストリノーマ。膵臓や十二指腸のガストリン産生腫瘍による胃酸分泌亢進と難治性潰瘍。
空腹時ガストリン、胃酸モニター、セクレチン負荷(→ソマトスタチン↑→ガストリン↓となるはず)など行い診断。
・治療は切除であるが、転移があるなどで治癒できないときはPPIなどは有効。
WDHA症候群とは?
 
VIPoma。膵臓のVIP(胃酸分泌↓腸液↑)産生腫瘍により、著しい分泌性下痢→低K血症
 (WDHA=watery diarrhea hypokalemia achlorhydria syndrome)
・治療は切除、電解質の補液。

多発性内分泌腫瘍 MEN I型とII型:割とこまかく中身まで暗記しておくこと!!(み287)

MENI型
 (常染色体優性)
すい 膵内分泌腫瘍でガストリノーマが最多。次にインスリノーマ。(60%)
すい 下垂体腺腫でプロラクチノーマが最多。(50%)
不幸 過形成による副甲状腺機能亢進症(95%)
 *次いで、副腎皮質腫瘍(非機能性)が30%の頻度で起こる。
MENII型
 (常染色体優性)
ずい 甲状腺髄様癌でカルシトニン分泌増加。(100%)
ずい 副腎髄質の褐色脂肪腫でカテコールアミン増加。(A型の60%, B型の70%に)
不幸 副甲状腺機能亢進症(A型, 10%)または粘膜神経種(B型, 100%)