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皮膚の基礎知識(鑑別に着目)
病変の主座と発症機序を考えること。体重の16%は皮膚。
表皮の厚さと構造(さらに3層) | 表皮は0.2mm。*デスモソームで結合・基底膜から6週間(角質で2週間) 角層(角質層)=約10層(死んだ細胞なのでHE染色に染まらない!) (手掌などでは”淡明(透明)層”がこの間にある) 顆粒層=2~3層*ケラトヒアリン顆粒を含む。 (この周辺にランゲルハンス細胞あり=CD1a+, Birbeck顆粒+, 抗原提示する) 有棘層=5~10層 (張原線維(tonofibril)が発達している) 基底層(基底膜)=1層(メルケル細胞はここにある)メラノサイトも基底膜にあり、明るい細胞質である。 |
真皮 | 内部は膠原繊維(トロポラーゲンなど)や基質成分、細胞、脈管、神経あり。 |
皮下組織 | 大部分は脂肪組織。 |
湿疹とは? | 表皮の炎症=角化細胞の間に水がたまる(浮腫)。 *蕁麻疹は真皮の浮腫「膨疹」。*結節性紅斑は皮下組織。 ・水疱や嚢胞は表皮または真皮。嚢腫は真皮内の空洞性の隆起。 |
好中球が真皮で暴れる | |
2種類の汗腺は? | エクリン汗腺(アセチルコリン調節で表皮に開口) アポクリン汗腺(アドレナリンと性ホルモン調節で、腋下や外陰部の毛嚢に開口)*毛嚢には脂腺(TGとリン脂質が主成分)も開口している。 |
分泌形式 | エクリン汗腺→エキソサイトーシス アポクリン汗腺→アポクリン分泌(離出分泌。細胞質がちぎれる) 脂腺→細胞が全体がこわれる「ホロクライン」。 |
表皮で合成されるもの ①ケラチノサイトは ②メラノサイトは | ①ケラチン、ビタミンD ②メラニン*MSH(メラノサイト刺激ホルモン)やACTHによる。ACTHで色素沈着する理由。 |
紅斑とは? | (真皮乳頭と下層での)血管拡張と充血により生じる紅色の斑。硝子圧法により退色する(退色しなければ紫斑)。 |
結節性紅斑の部位 みられる疾患の例 | 皮下組織(脂肪組織)に炎症が生じて隆起したもの。圧痛を伴う。 例:感染(ウイルスや細菌、結核)、ハンセン病、ベーチェット病、サルコイドーシス、薬剤アレルギー、潰瘍性大腸炎、クローン病、MDS サルコイドーシス・ベーチェット・結核は「硬結性紅斑(Bazin硬結性紅斑)」もみられる。 ・写真を確認すること |
環状紅斑 | シェーグレン症候群 |
蝶形紅斑 | SLE |
紅皮症 | 通常アトピー性皮膚炎にみられる。 |
コーヒーミルク色の皮疹(カフェオレ斑) | 神経線維腫症1型 |
真性ケロイドの後発部位 | 胸部 |
アトピー性皮膚炎の重な合併症 | 白内障・網膜剥離、伝染性軟属腫(水いぼ)、Kaposi水痘様発疹症、伝染性膿痂疹(とびひ) |
皮膚科の検査
I型アレルギーの検査 | ブリックテスト、スクラッチテスト、RAST(特異的なIgEを調べる) |
IV型アレルギー(遅延型アレルギー) *湿疹主体の薬疹など。 接触皮膚炎の多くはIV型 | パッチテスト *何かへの接触による皮膚炎(丘疹。=表皮)が示されたらIV型であり、これで検査。 |
単純疱疹・帯状疱疹・水痘・天疱瘡 | Tzanck試験 |
紅斑と紫斑を区別 | 硝子板圧迫法 |
蕁麻疹とアトピー性皮膚炎の区別 | 皮膚描記法(物理刺激で赤くなるか白くなるか) (蕁麻疹で起こるのは膨疹=真皮の血管透過性亢進による一過性の浮腫、であるのでアトピー性皮膚炎と異なる)*湿疹は表皮の浮腫。 |
天疱瘡・SSSS・TEN型薬疹 | Nikolsky現象 |
肥満細胞症 | ダリエー徴候(皮疹部への機械刺激により膨疹) |
乾癬・扁平苔癬 | Kobner現象(健常部でも刺激により同様の変化) |
尋常性乾癬 | Kobner現象+ Auspitz現象+ |
真菌検査の方法 具体的な真菌は? 治療は? | KOH法(ただし表在のもののみ。スポロトリコーシスは不可=肉芽や潰瘍をきたす) カンジダ症(口腔のものは”鵞口瘡(がこうそう)” 、他に爪や指の間など) 白癬症(Trichophyton~。頭部で脱毛すればケルススとくそう、股部白癬はいんきんたむしとも、足白癬は水むし)など。痒みあり。広がる際は中心治癒経口を示し環状の紅斑が広がっていく。白癬は糸状菌!!(ちなみにカンジダと癜風のも雰囲気は似ている。。)抗真菌薬であるイトラコナゾールを用いる。 癜風(でんぷう)思春期の体幹春から夏に発汗部分に地図上の褐色斑。イミダゾール外用。Malassezia furfurによる。 疥癬も。*トンネルを作るのは特徴。感染力強い。 |
Behcet病に特異的 | 針反応陽性=注射針を刺して1~2日後に刺部に紅斑、丘疹、膿疱が形成される(好中球の遊走を反映する)。 |
薬疹の種類
薬物への反応が即時型・アナフィラキシーであれば、ブリックテストやスクラッチテストが可能(→ただしあまり出題されないかもしれない)。逆に発症が服用のひと晩以上後であればパッチテスト・貼付試験を行う(→以下の表の薬疹はすべてこっち)。
「市販の感冒薬」(アセトアミノフェン)はしばしば原因になる。
固定薬疹 | しばしばNSAIDsによる。パッチテスト、貼付試験が可能。同じ場所に服用のたびに皮疹が現れる。 | 薬剤の中止 (全身性でないため) |
Stevens-Johnson症候群 | 服用数日後に体表の10%未満にびらんや紅斑、壊死性病変、発熱、角膜混濁、膀胱炎、肺炎、腎不全などを起こしうる危険。 | ステロイド全身投与 |
TEN (中毒性表皮壊死剥離症) | 服用数日後に体表の10%以上に紅斑やびらんが出現。NIkolsky+ 薬物のほかウイルス感染などでも起こる。 | ステロイド全身投与。熱傷に準じた対応 |
薬剤性過敏症候群 【原因になりやすいのは?】 | 服用2~6週間後に発生し、薬剤中止後も2週間継続する。リンパ節腫脹、発熱、肝臓障害、粘膜病変。HHV-6再活性化が関与(設問中に「ヘルペス抗体価の上昇」。好酸球↑ 異形リンパ球+ 【原因になりやすい】カルバマゼピンなど抗てんかん薬、アロプリノール、(ミノサイクリン、サラゾスルファピリジン) | ステロイド外用または内服。 |
薬剤過敏症候群のみ、原因になりやすい薬が比較的決まっている。
皮膚疾患の鑑別(表皮→真皮→皮下)
自己抗体はIgGによるものが表皮に3つ(うち1つは基底膜上に沈着)、基底膜に関連するものは3つ把握する。
合併に注意する疾患として2つあり症状と外観は特徴的。
トルイジンブルー陽性は?
角質が増えていれば角化症を鑑別に挙げ、重要なのは4つ。
手掌や足蹠(足の裏)の表皮に嚢胞や水疱が反復。胸痛(胸肋鎖骨間骨化症)。しばしば慢性扁桃炎、胆嚢炎を合併。 嚢胞の中に菌はなく機序不明。(設問文に”KOHで真菌陰性である”とか)。原因として、喫煙、慢性扁桃炎(GASなど)、歯根膿瘍、(歯科の)金属アレルギー、炭酸リチウムなどが原因(リスク)であり除去は有効。 | 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう) | 原因の除去(=問診重要) ステロイド外用。活性型ビタミンD3軟膏、PUVA。 |
初期に多発する小丘疹や水疱が膿疱となりやがて融合して潰瘍形成する。中心部から治癒し反復する。真皮の全層に好中球浸潤(非特異的所見)。 原因不明。10~50第の女性の下腿や臀部。 潰瘍性大腸炎、クローン病、高安動脈炎、MDS、RAなどでよく合併する。 | 壊疽性膿皮症 | ステロイドの内服。 難治性ではシクロスポリンやサルファ剤。 |
皮膚のターンオーバーの亢進(角化症の一つ) *通常は45日だが7日未満まで早くなる。表皮は肥厚する。 しばしば関節炎(仙腸関節炎)を伴う=乾癬性関節炎。他に爪の点状陥凹、乾燥性角結膜炎、虹彩炎、大動脈弁閉鎖不全症など。 Kobner現象+ Auspitz現象+ 角層~その直下に好中球が集積する(炎症が強い場合にはリンパ球も)。「好中球性小膿瘍(”Munroの微小膿瘍”)」 30代以降、男女比2:1。 | 尋常性乾癬 ステロイド内服は禁忌 | 紫外線療法、シクロスポリン内服(長期には腎障害に注意)、TNFα抗体、ビタミンD外用(細胞増殖抑制の効果)、ステロイドは外用のみ。ときにPUVA。 *ステロイド内服は膿疱性乾癬をきたしうる(禁忌!) ビタミンD3外用は妊娠時の安全性は不明らしい。 |
口腔粘膜、手背、四肢で紫紅色の丘疹(角化症の一つ)。原因不明(薬剤性多い)。表面に”Wkckham線状”がみられる。 HCVなどウイルス感染、薬剤、DM、GBHD、金属アレルギー(歯科)などで合併する。 Kobner現象+ 液状変性(表皮と真皮の間に空包)、表皮の鋸歯状延長。真皮(上層)にリンパ球浸潤。 | 扁平苔癬 | ステロイド外用、免疫抑制剤の外用。 |
体幹に好発(左右対称) | Gibertばら色粃糠疹 *角化症で重要(その3) | |
頸部、腋窩、乳輪、陰股部に黒褐色の色素沈着、角質が乳頭状に増殖してザラザラした感じ。 *様々な疾患のデルマドローム(特に胃癌に注意)として重要。*Leser-Trelat徴候(脂漏性角化症(老人性疣贅)の多発。病理が特徴的)はこの亜型と考えることもできるらしい | 黒色表皮腫 *角化症で重要(その4) | |
抗デスモソーム抗体による自己免疫(Dsg1のみ)IgG+ 表皮上層のみに水疱。口腔内びらんはない。 中高年。水疱性、弛緩性でNikolsky+ | 落葉性天疱瘡 *ちなみにDsg1は表皮剥奪毒素による切断標的でもある(S.aureusによる) | ステロイド 難治性では免疫グロブリン大量投与や血漿交換。 |
抗デスモソーム抗体による自己免疫(Dsg1, 3)IgG+ 口腔内びらん(=Dsg3=表皮の下層)から始まり全身に水疱。食道粘膜にびらんをきたすと摂食困難。水疱内には好酸球。 中高年。水疱性、弛緩性でNikolsky+ | 尋常性天疱瘡 | 同上。 |
抗へミデスモソーム(17型コラーゲンBP180やBP230)に対する自己抗体。表皮の基底膜の上にIgG, C3の沈着。 高齢者。水疱は緊満性でNikolsky陰性。 | 水疱性類天疱瘡 | ステロイド 免疫抑制薬。難治性では免疫グロブリン大量投与。 |
抗VII型コラーゲン自己抗体が基底膜の下からIgG沈着 (基底膜の”真皮側”にIgG。臨床像は類天疱瘡に似る) | 後天性表皮水疱症 | |
表皮と真皮の境界にIgG沈着をみる | SLE *先のIgG分布をみるテストは「ループスバンドテスト」 | |
真皮に好中球浸潤(血中の好中球↑)。発熱。関節痛。感冒症状に続いて(溶連菌感染が多い)顔面や関節に紅斑。圧痛+。MDSや白血病のデルマドローム。内臓腫瘍のこともある。*丹毒は溶連菌で起こるが皮疹はびまん性紅斑(本症例は円形浸潤性が散在する) | Sweet病 発熱があるのは特徴 | NSAIDs、コルヒチン、ステロイド |
真皮の肥満細胞が腫瘍性に増殖して褐色皮疹を呈する。小児に好発。外的刺激(掻くのも)により皮疹→膨疹となる(ダリエ徴候)。ときに発熱や呼吸困難など全身症状。ときに肥満細胞のヘパリン分泌により出血傾向。 肥満細胞はトルイジンブルー染色で紫色に。 | 肥満細胞腫(色素性蕁麻疹) | 小児例では自然治癒するので外的刺激を避ける生活指導。(蕁麻疹が生じたらその治療)。 *成人例は難治性。 |
真皮の乳頭部にIgAが沈着して紅斑や小水疱 | Duhring疱疹状皮膚炎 | |
いわゆる水虫 水疱型↔角化型のいずれか、または混在 | 足白癬 | |
淡い紅斑。掻痒感。1日以内に消失 膨疹(=湿疹ではない) 血管透過性の亢進で真皮上層に浮腫 | 蕁麻疹 | 抗ヒスタミン薬 |
毛母細胞の障害(ストレスや自己免疫など) | 円形脱毛症 | 自然治癒、PUVA療法。ステロイド外用も有効 |
男性型脱毛症 | 5α還元酵素阻害薬(抗アンドロゲン薬) | |
頭部の白癬で真皮の炎症による。 ステロイド外用の乱用も原因。 | Celsusとくそう | 抗真菌薬内服 |
汗腺(数や分布は健常)からの発汗亢進。思春期に好発し精神的緊張により発汗。検査はヨードデンプン反応を利用したMinor法。 | 掌蹠多汗症 | イオントフォレーシス(皮膚に電流を流して薬剤を浸透させる)。ボツリヌス毒素局注や塩化アルミニウム外用なども。 |
膨疹であるが掻痒感は蕁麻疹より軽い。腸管浮腫による消化器症状、咽頭浮腫。遺伝性またはI型アレルギーによる。 | 血管性浮腫(Quincke浮腫) | 遺伝性(=C1 inhibitor 欠損)に対してはアンドロゲン製剤など。 特発性では蕁麻疹治療に準ずる。 |
下腿伸側などに境界明瞭の湿疹(メモ:素人目には乾癬ににているようにみえる)。高齢者で(乾燥により)冬季の皮疹が広がる。 | 貨幣状湿疹 *サイズが貨幣大だかららしい |
*口腔の粘膜病変としては、扁平苔癬、尋常性天疱瘡、水痘など。
*関節痛がある皮膚疾患としては、Sweet病、尋常性乾癬、壊疽性膿皮症がある。
紫外線が原因 (角化細胞が基底層で増殖) | 光線角化症(日光角化症・老人性角化症) *角化して病理はうずまき像あり。 | 外科切除、凍結療法 |
「幼少期より雀卵斑が多発」 | 色素性乾皮症 ・幼少期より光線過敏→最近黒色丘疹、など (最少紅斑量測定はOK) | |
紫外線、ヒ素、HPV、原因不明。表皮が増殖 | Bowen病 | 外科切除、凍結療法 |
熱傷、または光線角化症、Bowen病、色素性乾皮症、ヒ素、タールなどが原因。 | 有極細胞癌 *リンパ節転移しやすい | 外科切除、放射線、化学療法 |
紫外線、外傷、放射線、ヒ素、色素性乾皮症などが原因。光沢がある黒色結節。 病理は柵状配列(癌真珠とは異なる) | 基底細胞癌 (予後は良好) | 外科切除 |
紫外線、色素性乾皮症などを背景に、表皮メラノサイトが増殖。 リンパ、血行転移ともにしやすい。 所見は_。 ABCDE=左右非対称・辺縁不整・色調不揃い・径6mm以上・隆起(evolution) | 悪性黒色腫 皮丘一致型色素沈着のダーモスコピー所見(=皮丘に一致して色素沈着。溝は淡い) *BはBlackではない!!! 日本では末端黒子型(掌蹠や爪)が最多 | 外科切除、補助的化学療法。 *放射線感受性は低い。 |
陰部の皮疹。アポクリン腺由来の細胞増殖により湿疹様の紅斑。 | 乳房外Paget病 *リンパ行性に転移する可能性あり。 (外陰部ときたら白癬菌やカンジダを想起すること。) | 外科切除 |
頭部の出血性病変が隆起、暗赤色斑。 病理では管腔構造(中に赤血球)。高齢者。悪性。時に外傷が誘因。 | 血管肉腫 *局所再発や血行性肺転移が多い。予後不良。 | 外科切除+放射線+薬物(IL-2製剤など) |
長期経過(20年前からとか)で体幹や四肢に大小の皮疹が散在、扁平浸潤→腫瘍期(=「次第に硬く振れるようになり一部が隆起」)。病理ではリンパ球の浸潤。自覚症状は軽度(「時々掻痒感」) | 皮膚T細胞リンパ腫(菌状息肉症、Sezary症候群) *画像を覚えること!! | 難治性の場合、PUVA |
爪床下に生じ激しく痛い。頭蓋底にできることもあり、この場合は拍動性の耳鳴りを来す。 | グロムス腫瘍 *爪のグロムス細胞に由来する良性過誤腫。 | |
中高年男性に好発。急速にドームができて真ん中がへこんで消える(基本的に経過観察)。良性。生検後に自然消退することもある。 | ケラトアカントーマ *ケラチノサイトの増殖 |
線状皮膚萎縮症(線状進展線条)=思春期や妊娠での過伸展で起きる。問題ない。クッシング症候群でも。
acne(ざそう)=にきび=尋常性ざそう=毛孔に一致して起こる。
酒さ=血管拡張により赤く見える。ほてり・かゆみを伴う。ステロイド、アルコールなど原因多数。
10~30代の炎症性角化症。背部にクリスマスツリー。→ギルバートバラ色粃糠疹(ひこうしん)=これも角化症
腋窩とか頚部の摩擦部位にザラザラの(病理所見として)乳頭状隆起。肥満者、糖尿病、SLEなど。胃癌のデルマドロームとして重要。角質層の肥厚。→黒色表皮腫(紛らわしい名前なので注意)。
*糖尿病の皮膚症状として浮腫性硬化症があることも想起すること。
高齢者の生理的な疣贅。80歳以上でほぼ必発。多すぎるとLeser-Trelat徴候といい、胃癌を疑うデルマドローム。病理で偽角化嚢胞=脂漏性角化症(老人性疣贅)(*膿漏性角化症は別!(のうろう)見間違えないように!=これは反応性関節炎をきたす疾患)
外傷や創傷を契機にコラーゲン線維が増殖する。良性=肥厚性瘢痕 < ケロイド(創部を越えて増え続けるのがケロイドで治療抵抗性。)治療はステロイドや切除(ただし、再発・増悪することもあり安易に単純切除は行わないことに注意!)、放射線照射も。掻痒感を伴うことがある。
液体成分や角質を含む腫瘤状病変。粉瘤(類表皮嚢腫)もこれに含まれる=嚢腫
デルマドローム
匍行性迂回状紅斑:80%以上に内臓悪性腫瘍(乳房,肺,胃,子宮)合併.
水疱症(腫瘍随伴性天疱瘡,水疱性類天疱瘡):内臓悪性腫瘍など
後天性魚鱗癬:Hodgkinリンパ腫,白血病,肺癌,乳癌
黒色表皮腫:合併症の90%以上が胃癌(特に早期胃癌)
Leser-Trélat徴候(脂漏性角化症の多発): 内臓悪性腫瘍合併率(特に胃癌)が高い
皮膚筋炎: 内臓悪性腫瘍(胃癌,乳癌,肺癌など)合併
Sweet病:白血病,MDS,内臓癌に合併することがある
紅皮症:菌状息肉症,Sézary症候群,白血病,内臓悪性腫瘍にみられる
壊疽性膿皮症: 白血病,MDS
稀もしくは国試的にマイナーな皮膚疾患
色素性失調症 | X染色体優性 (アルポート症候群と色素性失調症がXD遺伝)男児だと胎内死=「母親は流産歴」 |
尋常性白斑 | 治療にPUVA。20歳前後で、メラノサイトやメラニンへの自己免疫による白斑。 |
色素性乾皮症(XP) | 光過敏。常染色体劣性(ATM変異)。PUVAが禁忌!!(有棘細胞癌・基底細胞癌・悪性黒色腫の発生母地) 「幼少期から顔面に雀卵斑」(=光過敏)、「数年前から黒色皮疹」(=悪性腫瘍の発生)などの記載。 |
弾性線維性仮性黄色腫 | 真皮の中~深層の弾性線維の石灰化と変性。関節屈側や鼠径部、眼や血管。 |
Ehlers-Danlos症候群 | コラーゲン遺伝子の異常。マルファン症候群様。易出血も。 |
リンパ管腫 | 特に、大嚢胞リンパ管腫は頸部に好発して気管圧迫するので気道確保が重要。穿刺でリンパ液(淡黄色透明)が診断に有用。 |
うっ滞性皮膚炎 | 下肢静脈瘤などの還流異常を基盤とし、掻痒感、湿疹性変化、ヘモジデリン沈着、ときに潰瘍化を認める。 |
無汗症 | さまざまな原因(神経または汗腺の障害、先天性または続発性、限局または全身性) 例:糖尿病(神経障害)、Fabry病(糖脂質の腺への蓄積)、Sjogren(腺の炎症)、甲状腺機能低下症(体温調節機能低下) |
壊死性筋膜炎 | 特に男性陰部に生じる者は「フルニエ壊疽」と呼ばれる。激痛、紅斑、腫脹、潰瘍。 皮下組織と固有筋膜の間の、浅層筋膜の炎症が急速に進行する。 |
母斑症
新生児にみられる皮膚所見 参考:105G26
病的かそうでないか。色、部位、随伴症状(特に神経症状や眼症状)などから鑑別していく。
「4か月児健康診査で精査がひつような皮疹は何か」→顔の片側で頬から額に続く赤い皮疹。
サーモンパッチ | 2歳くらいで消失する血管腫。額とかに淡く赤いやつ(紅斑)。経過観察。 |
ウンナ母斑 | 30%にみられ半数は成人期まで残る紅斑。まずは経過観察する(紅斑)。*真皮上層の毛細血管の拡張なので出血しやすいことはない。 |
太田母斑 | 自然消失しない。片側顔面(V1かV2領域に生じる)。日本では0.1%にみられる。生後すぐ発症の場合と、思春期以降の遅発型もありレーザー治療される。 真皮のメラノサイトが増生し、表皮基底層にメラニン沈着。*メラノサイトが増えるゆえに黒でなくて青く見える。 |
扁平母斑 | メラノサイト増生はなく、表皮基底層にメラニン沈着(カフェオレ斑と同じ)。(*NF1(神経線維腫症1型)にみられるものと同じだが合併症がないものを扁平母斑という) |
蒙古斑 | 通常10歳くらいで消失。4%は成人期まで残存。 |
。 | |
イチゴ状血管腫 | 赤い隆起状の腫瘤。日本では1%にみられる。 |
脂腺母斑 | 頭部の赤い扁平隆起。出生時から頭頂部に脱毛斑、表面はザラザラ。基底細胞癌に注意する。 |
Sturge-Weber症候群 | 精査が必要! 片側(まれに両側。V1とV2領域に生じる単純性血管腫=赤い隆起)スタージウェーバー症候群。顔面ポートワイン斑(毛細血管奇形)、頭蓋内軟膜血管腫→てんかん・片麻痺・精神発達遅滞、緑内障。CTで脳内石灰化がときにみられる。 |
類器管母斑 | 基底細胞癌などの前癌病変として重要。 |
von Recklinghausen病 | 常染色体優性。神経線維腫とカフェオレ斑(メラニン沈着)の多発。*メラノサイト増生はない。 |
Kasabach-Merritt症候群 | 乳児の巨大血管腫。血管腫内でのうっ血、出血するため血小板減少をきたすことがある。 |
神経皮膚症候群(乳幼児での鑑別が重要)
色で3疾患の鑑別は可能と考えらえる。随伴症状を考慮する。
結節性硬化症は過誤腫が全身にできる先天性疾患であり皮膚に母斑が現れる。代表的症状に、頬に赤みを帯びた腫瘍(にきび様。顔面血管線維腫)、てんかん、知的障害、横紋筋腫(心臓)、脳腫瘍、腎腫瘍、女性の場合成人期にLAM。
新生児~乳幼児期に白斑(皮膚の形成異常での皮疹) +乳児期にけいれん(West症候群が典型的) (*上記2点でもっとも想起される疾患) 他に、脳(脳室に石灰化)、眼、心臓、肺、腎臓(腎嚢胞)など病変。顔面に血管線維腫。乳児検診で疑われた際、心臓腫瘍(横紋筋腫)検査がなされる。思春期以降に爪囲線維腫(爪の基部や縁に生じる良性腫瘍)。 | 結節性硬化症 (Bourneville-Pringle病) (1/3は遺伝性) |
出生時より全身にCafe-au-Lait斑(学童期に増加)。 小児期より腋窩や鼠経に褐色斑(雀卵斑様色素斑)、虹彩過誤腫、視神経膠腫。 学童期に全身に大小の結節(皮膚神経線維腫)が現れ多発。 | NF1(神経線維腫症1型。von Recklinghausen病=カフェオレ斑があるもの) (*結節性硬化症とSturge-Weberと比して神経症状は目立たないっぽい) |
まれにCafe-au-Lait斑。両側の聴神経鞘腫、神経鞘腫、白内障 | NF2(神経線維腫症2型) |
顔面片側のV1とV2領域に生じる単純性血管腫=赤い隆起。顔面ポートワイン斑(毛細血管奇形)、頭蓋内軟膜血管腫→てんかん・片麻痺・精神発達遅滞、緑内障は特徴的。CTで脳内石灰化がときにみられる。 | Sturge-Weber症候群 |
(20歳以降に、血管芽腫による網膜出血、脊髄小脳症状。*これも「単純性血管腫」) | von Hippel-Lindau病 |
Louis-Bar症候群 (毛細血管拡張性運動失調) | |
女児。多発する水疱(→次第に軽減)。中枢神経症状(けいれん・知的障害)、斜視など。(男児だと胎内死=「母親は流産歴」) | 色素失調症 (Bloch-Sulzberger症候群) |
単純性血管腫の治療としてはレーザーが標準的。
乳幼児の、皮膚症状+神経症状で想起するものとして、結節性硬化症とSturge-Weber症候群があるが、前者は白斑で、後者は顔面片側三叉神経域に沿った紅斑!
皮膚症状をおこす感染症
黄色ブドウ球菌によって | 【表皮】 ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS。*とびひの悪化版と理解してもよい。Dsg1切断により発赤・水疱・紅斑、落葉状の外観。Dsg1なので粘膜症状はまれ) 伝染性膿痂疹(とびひ) 【毛包関連】せつ、よう |
A群連鎖球菌 (GAS, A群β溶血性連鎖球菌) | 【真皮】丹毒(皮膚軟部組織の急性感染症) 【皮下脂肪まで】蜂窩織炎、蜂巣炎 【表皮】伝染性膿痂疹(とびひ) |
真菌症 *上述別表参照のこと!! | 白癬(各種の部位)、癜風、カンジダを想起すること。 |
伝染性軟属腫 | |
ヘルペスウイルス(各種) | 水痘 帯状疱疹 Kaposi水痘様発疹症(水痘・帯状疱疹と同様の外観) |
風疹ウイルス | 発熱と同時に軽い掻痒を伴う丘疹性の紅斑が全身に。色素沈着はない。 |
麻疹ウイルス | 発熱(カタル期)→解熱して口腔粘膜に白色斑→2回目の発熱で皮疹→色素沈着して消退する。 |
ヒトパルボウイルスB19 | 伝染性紅斑(リンゴ病)。上下肢には丘疹性の紅斑→融合してレース状。 |
ヘルペスウイルスのうちCMV(HHV-6)の薬が他と違って、ガンシクロビル。
光線過敏症の分類 ①皮疹が増悪または誘因されるものとして、SLE, 単純性疱疹, 日光性角化症, 肝斑, ②ほかに、色素性乾皮症, 種痘様水疱症, フェニルケトン尿症, ペラグラ, ポルフィリン症、③薬剤性(降圧薬など)がある。110I35
ペラグラの3つのキーワード:①VB3不足で、②早期は腹痛、③晩期は光線過敏
光過敏症を疑う所見と検査は?:顔面・頚部・両手背に皮膚症状(これら露光部となる)。「最小紅斑量試験」=UVBを照射して紅斑を生じる最小の高線量(MED)を調べる。*患者が顔面の皮疹を主訴に受信した場合は頚部や手背も診ること。
MEDに関連して、PUVAではMED以下の光線を当てる方法で、外用法と内服法がある
PUVAの適応=尋常性白斑、尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、菌状息肉症、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症。
ステロイドの副作用として、紫斑がある(皮膚萎縮による”ステロイド紫斑”)。ほかに、酒さ様皮膚炎。毛髪については、脱毛ではなく、多毛である。