呼吸器(鑑別に着目)

閉塞性肺疾患の比較

気管支喘息アトピー性または感冒に続発する非アトピー性。一秒率↓。
Wheezes、好酸球↑、IgE↑、NO↑
(「咳喘息」は、8週以上続き喘鳴やWheezesを伴わない→治療は気管支喘息と同じ)
【長期管理】ステロイド吸入
ロイコトリエン受容体拮抗、テオフィリン徐放性剤経口、ステロイド経口、長時間作用性β2吸入、長時間作用性抗コリン薬吸入
【急性発作時】短時間作用性β2刺激
抗コリン薬吸入、ステロイド静注または経口、アドレナリン皮下注、テオフィリン静注(=アミノフェリン)
アスピリン喘息NSAIDs→COX↓PG↓ロイコトリエン↑。*アレルギーではないが気管支喘息を背景に起こりやすい*治療は気管支喘息と同じ
COPD(慢性閉塞性肺疾患)労作時呼吸困難。喫煙歴。一秒率↓ VCやや↓(80よりは下がらない) 残気量↑ 拡散能↓ 静肺コンプライアンス↑(だらんとする) 気腫性変化。【通常の治療】禁煙、呼吸リハビリ、高エネルギー食(高蛋白・脂肪割合も増やす)、気管支拡張薬として長時間作用性抗コリン薬またはβ2刺激薬の吸入。
(ロイコトリエン拮抗はない。)
【COPDの急性増悪時】原因ははいいんも。
抗菌薬、気管支拡張薬として短時間作用性β2刺激吸入。
CO2ナルコーシス典型的な設問として、
「COPD患者に高濃度酸素を投与したところによる発症」。症状は重症のCO2中毒(アシドーシス、意識障害、CO2作用により血管拡張・脳圧↑)高濃度O2をきっかけとして低換気→CO2↑O2↓となる。
【CO2ナルコーシスの予防と対応】
・酸素投与は低濃度から行い、もしO2が低いままCO2が上がっていくなら、早急に人工換気にする。
*参考までに在宅酸素療法の適応はPaO2≦55である(≦60でも一過性の強い低酸素が」あるなら適応)
LAM(肺リンパ脈管筋腫症)結節性硬化症の原因遺伝子であるTSC遺伝子異常。病態はCOPDに似ているが、若年女性。繰り返す気胸。血胸、乳び胸など。
*若い女性の気胸で想起すべきは、LAMと子宮内膜症。
*肺に多発性嚢胞をきたす疾患としては、妊娠可能年代女性ではLAM、喫煙男性ではLCH(肺好酸球性肉芽腫症。尿崩症、眼球突出、脂漏性皮膚炎様の皮膚)
【LAM治療】
対症療法、mTOR阻害、ホルモン療法。重症では肺移植。
DPB(びまん性汎細気管支炎)炎症を思わせる兆候(CRP, IgA/G↑, coarse crackles↑ 膿性痰など)。一秒率↓ VCやや↓。びまん性の粒状影。慢性副鼻腔炎や鼻茸を合併。【DPB治療】
エリスロマイシン(14員環マクロライド)少量持続投与。
*慢性感染があってもひどくなければこれ優先。
その他の疾患:
①好酸球性肺炎(スリガラス陰影あり。急性は喫煙開始の若年者、慢性は気管支喘息の背景がある中年女性に後発。治療はステロイド。薬剤性で好酸球上昇もある→治療はステロイド(ちなみに薬剤性など、特発性以外の間質性肺炎でも治療はステロイド(と免疫抑制))。
*慢性好酸球性肺炎以外では、好酸球増加+気管支喘息→好酸球性多発血管炎性肉芽腫(EGPA, Churg-Strauss症候群)もある(この場合ANCAや尿定性検査する)。III型アレルギーでは血清沈降反応試験で原因となる抗体を探す、またツベルクリン反応陰性となる。
②アレルギー性気管支肺アスペルギルス症も好酸球性肺炎に該当する(治療はステロイドである。真菌薬ではない!)
③Goodpasture症候群(II型アレルギーによる肺胞障害と腎障害。血痰と血尿で想起すべき疾患)。
④過敏性肺炎(これはIII+IVアレルギー。農夫肺など。帰宅誘発試験。スリガラス陰影あり。IgEは上がらない。)
*設問上、普段家にいる人であれば即ち夏型過敏性肺炎(トリコスポロンが原因)となる問題が多いようだ。「帰宅して増悪」があり薬剤性除外、感染原因特定できていなければ、設問上は過敏性肺炎を選んでよいらしい。
⑤Kartagener症候群(気管支拡張がみられDPBと似るが、常染色体劣性遺伝で、慢性副鼻腔炎や内臓逆位をみる)
⑥サルコイドーシスの所見(特に、生化学的所見)を復習するべし(血清ACE, リゾチーム, γ-グロブリン↑、粘膜下血管の網目形成)症状がなければ経過観察であるが、症状があればステロイド。


間質の疾患

IPF以外はステロイド。もしくはじん肺であれば対症療法となる。KL-6↑。

IPF(特発性肺線維症)乾性咳嗽。KL-6↑ 下肺野背部にfine crackles。VC↓ 一秒率正常。
残気量(RV)↓ 拡散能(DLCL)↓ Aa-DO2↓(*COPDと違って、残気↓ 静肺コンプライアンス↓(硬くなるため)。喫煙関係の点で共通)。蜂巣肺、CRP+。BAL陰性
抗線維化薬
COP(特発器質化肺炎)発熱。感染はない。非喫煙者に多く、ポリープ状の器質化病変による炎症。ステロイド
続発性間質性肺炎放射線、じん肺、感染症、薬剤、過敏性肺炎、好酸球性肺炎などを原因とするもの。
*IPFと異なり、びまん性のスリガラス影がみられる。
ステロイドや免疫抑制剤。原因の除去。
上記ほかに、じん肺2種類の区別は頻出である。
①石綿肺=アスベスト。下肺に胸膜プラーク形成と石灰化。合併症は肺癌、胸膜中脾腫(胸水でヒアルロン酸↑カルレチニン↑)
②珪肺=ケイ酸(結晶シリカ)。上~中肺の肺門リンパ節に卵殻状の石灰化。珪肺結節(タマネギ)。合併症は結核。「ケ~」が多い。
③肺胞蛋白症(抗GM-CSF抗体によるMφ↓ サーファクタントのリン脂質・糖タンパクが蓄積。間質性肺炎の所見。メロンの皮所見。喫煙関係。

II型~のアレルギーが関係する肺疾患など

本来異なるカテゴリの疾患であるが、似ている項目があるため、注意深く比較すること。
腎障害、乾性or湿性、好酸球、拘束性or閉塞性などで比較し鑑別できるようすること。

肺胞障害・腎障害
尿量↓ 浮腫
担鉄細胞(Mφ)
広範なスリガラス陰影
Goodpasture症候群(II型)血漿交換
ステロイド
免疫抑制剤
乾性咳嗽。捻髪音。発熱
労作時呼吸困難。VC↓。
炎症+ (WBC↑赤沈↑CRP↑)
*IgE, 好酸球は不変。
ツベルクリン反応陰性化
びまん性スリガラス陰影
粒状影。BALFでT細胞↑↑
環境を変えると治る。
過敏性肺炎(III型+IV型)
 CD8↑は夏型
 CD4↑は農夫肺
抗原を避ける。
改善不十分はステロイド
(→著効する)
粘性で黄褐色痰。微熱
発作性呼吸困難、一秒率↓
好酸球↑ IgE↑
中枢性気管支拡張
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
(I型+II型+III型)
*アスペルギルス症では、これ以外3つ覚えよう。
①侵襲性アスペルギルス症(急性、抗菌薬で治療。免疫不全に注意)
②慢性進行性肺アスペルギルス症(抗菌薬で治療。同上)
③単純性アスペルギローマ(治療は手術)
ステロイド
+抗真菌薬・抗IgE抗体
倦怠感、発熱、関節痛。
霧視、羞明、結節性紅斑
時に咳嗽、末梢神経障害、心病変
Ca↑、ACE↑、γ-グロブリン↑
BALFでリンパ球↑(末梢血で↓)
BALFのCD4/CD8↑
サルコイドーシス(IV型)経過観察で多くは治る。
症状があればステロイド。
喫煙者の男性(20-40歳)
乾性咳嗽、労作時呼吸困難。
*ランゲルハンス細胞の増殖と臓器浸潤。
合併症に嚢胞→破裂して気胸、下垂体浸潤による尿崩症、骨病変など。
LCH(肺ランゲルハンス細胞組織球症)禁煙。治療法なし。
(ステロイド効果不明)
喘息、副鼻腔炎、好酸球↑
発熱、多発性単神経炎、消化管出血、紫斑、CRP↑ IgE↑ MPO-ANCA+。肉芽腫
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA, Chrg-Strauss症候群)ステロイド
(重症ではシクロホスファミドなど)
肺胞出血・間質性肺炎、腎障害
発熱、多発性単神経炎、消化管出血、紫斑、
CRP↑ BUN↑ MPO-ANCA+。
顕微鏡的多発血管炎(MPA)同上。

肺腫瘍の随伴症状の整理

【随伴症状】

基本的に以下の区分で考える。ホルネル症候群があるのに、顔面浮腫を選択などしないこと。

顔面と上肢の浮腫、経静脈怒張。上大静脈症候群縦隔リンパ節への転移
胸腺腫の浸潤
ホルネル症候群、上肢の運動/感覚障害(腕神経叢圧迫)、
上肢の浮腫(鎖骨下静脈の圧迫。顔面には影響しない)
Pancoast症候群扁平上皮癌が多い(肺尖部)
嗄声など。反回神経の圧迫大動脈弓に接する腫瘍など、設問上は、わかりやすい画像所見があるはず。
腫瘍関連では、
①マーカーを完全にすること。
②縦隔腫瘍の好発部位を覚えること。*上・前縦隔に多いのはT3(胸腺、甲状腺、奇形腫teratoma) 

循環が関係する呼吸器疾患

術後/敗血症/外傷/膵炎を原因として、
肺水腫症状(ピンク色泡沫喀痰=左心不全の有名所見)があるが心不全はない。
PaO2/FiO2比の低下。スリガラス陰影(両側)
ARDS(急性呼吸窮迫症候群)左心不全によらない肺うっ血(肺水腫)。サイトカイン↑による。
治療は対症療法。
肺動脈圧の亢進→右心不全の兆候をみる
軽労作での呼吸困難、失神、咳嗽。
チアノーゼ.
肺動脈圧楔入圧(=左房圧を反映)は正常~やや低下。
IPAH(特発性肺動脈性肺高血圧症)若年女性の軽労作での呼吸困難といえば、LAMまたはIPAH。
*先天性ではさまざまある。
治療はPGI2製剤(プロスタサイクリン)、エンドセリン受容体拮抗薬、PDE-5阻害剤による肺血管拡張など。
よく鼻血、喀痰、呼吸困難やチアノーゼなど
肺に腫瘤影
肺動静脈ろう
(Osler病)
=先天性
肺動脈から肺静脈にシャント。=画像所見では肺に血管腫瘤があるが”太い血管”と接続している(→生検が禁忌であるので腫瘍と異なる!)血管奇形の破綻による出血を反復。肺のフィルターを通さないので塞栓子や細菌が脳にとぶ(脳梗塞、脳膿瘍などに)。
治療はコイル塞栓、外科的肺切除。